僕も前職では様々な媒体への出稿を経験させてもらいました。
その経験から得たことは効果のわからない広告はやめるにやめられない麻薬のようなものだということです。広告出稿 (特に紙媒体)に際しては、効果測定を行い撤退ルールを設けましょう。今回はフリーペーパーなど紙媒体への広告出稿についてお話させていただきます。
今回のコンテンツ
紙媒体の広告効果は測定できない
お客様に足を運んでいただくことの難しさ。これは実際にお店を運営してみないとわからないことです。「売り上げを上げたい」「新規のお客様を集めたい」といった場合、一番手軽に行える宣伝活動がフリーペーパーなど紙媒体への出稿です。
初めて広告を出すのは楽しいものです。キャッチコピーを考え、代理店の担当者と何度も打ち合わせを重ね、広告を見て何人が来店するのかワクワクしながら待ちます。
ある程度結果が出る場合もあれば、思ったほどの結果が出ない場合もありますが、営業担当者に「最低3ヶ月は続けないと効果がない」と言われ、しばらく広告を出し続けるパターンが多いものです。
しかし、紙媒体の場合、広告でどれくらい集客出来ているのか正確な数字を把握するのは困難です。効果のわからない広告をダラダラ続けていると「広告を止めたら新規集客が止まってしまうのではないか?」と不安になり、出稿経験が長ければ長いほど麻薬のように広告がやめられなくなります。
- 昨日の新規客は広告を見て来てくれたのかもしれない
- 先ほどの問い合わせは広告を見たのかもしれない
- 広告をやめたら売り上げが落ちるかもしれない
- 掲載内容を変えれば効果がでるかもしれない
すべてが「かもしれない」のまま惰性で効果のわからない広告を出し続ける羽目になるのです。
広告費はすべて利益になったはずのお金
広告費は営業活動によって生み出された利益を原資としています。
当たり前ですが広告を出さなければすべて利益になったはずのお金です。仮に月20万円を広告費にかけたとしたら年間240万円。アルバイトなら1名雇えますし、スタッフのお給料を上げてあげることもできます。
240万円の利益を出すということはスモールビジネスにとって決して簡単なことではありません。240万円の利益を得るために何倍の売り上げが必要かを考えると、高額な広告費はお金の無駄だと思えなくもありません。
しかし、スモールビジネスこそ広告宣伝費を使い、他社に先駆けて集客を行うべきだと僕は考えています。
特に山梨など狭い地域限定でビジネスを行なっている場合、媒体数が限られるためそれほど金額をかけずに知名度を上げることが出来ますし、有効な媒体へ集中的に資金を投下することで大きなリターンを得られることも多いのです。
経費節約のために新規獲得をおろそかにすると、次第にビジネスは先細りになり、焦って手を打っても手遅れ、なんてことになりかねません。
限られた資金を有効に活用するには、効果のある広告を把握し、掲載数を絞ったうえで必ず費用対効果を計測することが重要です。
効果測定の方法とルール作り
大切な利益を無駄な広告に費やさない為にも、広告出稿に際してはルールを設けましょう。効果測定をし、必ず顧客獲得単価を調べ比較します。
感覚ではなく数字を見て撤退か継続かを判断しましょう。
紙媒体における効果測定のもっとも簡単な方法は、広告にオファー(特典)をつけることです。
割引でも、ちょっとしたプレゼントでも何でも構いません。広告を見た顧客が利用したくなるオファーをつけましょう。
このオファーのコツはケチらないこと。効果測定だと割り切って、思い切ったものにした方が効果はわかりやすくなります。
また、クーポンを切り抜いて持参する必要がある場合には集客効果が落ちる傾向にありますので、「〇〇を見た」といえばOKにするなどお客様に負担のない方法がよいでしょう。
紙媒体であれば広告効果はせいぜい2週間から長くても1ヶ月です。まれに1年前の広告を見た、なんてお客さまがいらっしゃることがありますが、効果の計測期間を1ヶ月などキリのいい期間で区切り、実際にクーポンを利用したお客様の数を集計します。チェック漏れがあると正確な数値が取れませんので、スタッフ全員で掲載スタート日からの電話や来店数を毎日チェックし、正しい数字をお店全体で把握するよう周知しておく必要があります。
仮に20万円の広告費で20人の新規が獲得できたのであれば、1人の新規客を獲得するのにかかった費用は1万円ということになります。
広告費÷集客人数=顧客獲得単価
販売しているサービス、商品が高額になればなるほど新規獲得単価は上がります。サービス業であれば新規客1人を獲得するのに2〜3万円かかるのは当たり前で、時には5万円以上なんてことさえあります。
出稿と計測を何度か繰り返しているうちに、自身のお店の平均的な顧客獲得単価が把握できるようになります。媒体ごとの効果もわかりますし、「1人あたり○円以上かかった広告は即撤退」などのルールを作ることで、無駄な広告を出さない体制を作れるはずです。
「付き合いで」という場合もあるでしょうが、いくら安い掲載料でも効果がなければそれはすべて利益の食いつぶしになってしまうのでシビアな対応も時には必要です。
まとめ
ネット広告の効果が高まる今、紙媒体における広告効果は薄れつつあるのは確かです。私の実感でも10年前に比べて紙媒体では集客できないケースが増えました。
しかし、山梨などの狭い地域限定のビジネスではまだまだ有効に活用できる業種やターゲットは多くあります。効果のある媒体に絞って費用を節約しつつ、紙とインターネットの両方を上手に活用して新規獲得を継続して行なっていきましょう。