店舗型ビジネスでキャンペーンやセールを成功させる方法

セールで売れる商品には明確な理由がある

この時期、夏に向けたセールが増える時期ですね。

セールを開催すれば売り上げが上がりお店が潤うというのは、どのサービス業や小売業でも共通の認識でしょう(もちろんセールをしなくても十分潤っている事業もたくさんありますが)。

セールはお店の売り上げに貢献する大切なイベントです。
しかし、安くすれば売れるほど商売は単純なものではありません。

今回は私が経験した事例をもとに、セールを成功させる方法について考えてみたいと思います。

今回お届けするノウハウはこちら

セールで売れる商品、売れない商品

私も過去に何度もセールを企画しましたが、価格が安いからといってどんな商品でも売れるわけではありませんよね。

セールで売れるのは「日頃からお客様が欲しいと思っている」、または「すでにリピートしている」商品です。

これは確実に売れます。
価格はお客さまにとって何よりのサービスですから、欲しい商品が安いとなればお客様はすぐに反応してくれます。

ところが、値引率が驚くほど高いのに売れない商品もあります。
セールの目玉として送り出したもののまったく売れない。

なぜこれほど安いのにお客様は反応してくれないのでしょう?

この両者の差は商品に関してお客さまが持っている情報量の差です。

セールで売れる商品は、お客様が十分な情報を持っており「欲しい」という感情がすでに芽生えている場合がほとんどです。そこへセール価格が引き金となり購入へとつながります。

一方、セールでも売れない商品は、お客様が商品に関する事前知識をほとんど持っておらず「欲しい」という感情がまだお客様の中で生まれていない状態です。スーパーなど生鮮食料品と違い「なくても困らないもの」の場合、価格だけでお客さまは反応してはくれません。今の時代、欲しいと思っていない商品はいくら価格を下げたところで購入には結びつかないわけです。

安くすれば売れるという間違った認識

セールで失敗する要因の1つとして、お店とお客さまが持っている商品に関する情報の差があります。

私にもこんな経験があります。

2つのメニューを値引きしてキャンペーンを企画した際、1つはお店でいちばん人気のあるメニュー。もう1つはデビューしたばかりの新しいメニューを用意しました。

人気のあるメニューは値引き率も10%ほどと低めですが、新しいメニューは体験キャンペーンと銘打ち価格を定価の半額以下に設定しました。

お店としては半額以下にするというビックリ価格を提示しているのでお客様も飛びつくだろうと予想していましたが、いざ蓋を開けてみると売れるのは10%しか値引きしていない人気メニューばかりです。お店の思惑とは随分違った結果になってしまいましたが、意外と多くのお店で同じような失敗をしているケースがあるのではないでしょうか。

これはメニューに関して十分な知識を持っているお店側とお客さまとの温度差が出てしまった結果です。

お店はメニューに関するすべての情報を熟知していますので「こんなにすごいメニューが半額以下ですよ!」と鼻息も荒くなります。ところがメニューに関する詳しい情報を持ち合わせていないお客様にとってはただの高額なメニューにすぎないのです。

このようにお店の独りよがりになっているパターンは意外と多く、セールやキャンペーンを失敗させる大きな要因にもなっています。

セール成功のカギは情報提供

セールで売れる商品を増やすためには日頃からの情報提供がポイントになります。情報提供の手段としては以下のようなものがあります。

・手書きのチラシを渡す
・ポップで興味を引かせる
・お店通信でメリットを紹介する
・直接会話で伝える
・ブログで使って使用感を紹介する
・利用者の声を紹介する

売るためのクロージングに加えて、知っていただく努力を日々どれだけ行えるかは、セールに限らずお店の販売量を増やすためにはとても重要です。

すぐには購入に繋がらないため情報提供は後回しにされがちですが、日頃からお客様に製品の良さをコツコツと教えているお店はセールに頼らないお店作りができているはずです。そんなお店がたまにセールを行うと爆発的に売り上げを上げることができます。値引率は低くてもお客様は喜んで購入してくれます。

商品の良さを伝える努力をせずに〇〇%OFFという価格に依存してしまうケースはこれからもなくならないでしょう。それが一番簡単で手っ取り早いからです。
しかし今の時代必要でない商品を安いからといった理由だけでお客さまは購入してはくれません。

日々の営業活動はここぞと言う時のための宣伝活動だと思っています。
売りつけるのではなく、お客様の中に「欲しい」という感情を芽生えさせること。

特に新しい商品などお客様に商品知識が少ない場合は情報提供に力をいれるべきです。そうすることで、定価販売でも購入に繋がる売り上げの柱となる商品をいくつも育てることができることでしょう。

まとめ

日々の情報提供は根回しです。

年に数回定期的なセールを開催しているのであれば、日々情報提供を行い、商品への興味・関心を高めながらセール開催に向けて「欲しい」という感情をお客さまの中に育てましょう。

そしてセールというキッカケを作ってあげることでお客様の感情は一気に購入へ流れます。

営業活動において売ることばかりに注力してしまうと、商品へ興味・関心を持つ前に一歩引いた視点でお客様は商品を見てしまいます。あくまでも興味・関心を喚起する情報提供を心掛けましょう。